高麗人参には多種多様な健康作用があり漢方の王様と呼ばれるのは、他に同じような薬効成分を含有する生薬が存在しないからです。
高麗人参が唯一無二の存在である一番の要因は有効成分のサポニンを豊富に含む点にあります。
高麗人参=サポニンの含有、という認識で問題ないくらい、高麗人参にとってサポニンは重要な存在といえます。
このためサポニンとは何か?を理解することで高麗人参の本質が見えてきます。
同じくサポニンを多く含む食品には【ゴボウ】があります。
ではゴボウは高麗人参の代用となる存在になるのでしょうか?
サポニンという成分はサポゲニンと呼ばれる配糖体の総称です。
つまりたくさんの種類があります。
これは、ビタミンと一口に言ってもビタミンには多くの種類があるのと同じような理屈です。
サポニンの中には毒性のある種類も存在します。
サポニンは自然界においてさほど珍しい成分ではありません。
植物の根っこ部分に含まれる場合が多く、気泡性の性質があるため、日本では平安時代に洗剤として使われていたという記録もあります。
高麗人参もサポニンを含み、漢方薬として用いられるのはやはり根の部分です。
実は高麗人参に含まれるサポニンは他の植物には存在しない、高麗人参特有のサポニンです。
そのため高麗人参特有のサポニン群をジンセノサイド(人参サポニン)と呼びます。
ジンセノサイドは人体に有益な健康作用がいくつもあり、高麗人参が万能薬と呼ばれる所以となっています。
ゴボウはサポニンが多く含まれています。
サポニンは総じて独特の苦味成分があり、高麗人参もゴボウも独特の苦味が強いという共通点があります。
多くの種類のサポニンには殺菌作用があり、植物の根にサポニンが多いのも病気から身を守るためであると考えられています。
ゴボウは和食の素材として有名ですが、煎じ茶として飲むゴボウ茶も健康に良いお茶として有名です。
ゴボウ茶は血中や腸内の悪玉コレステロールの抑制に効果的であるとして、血液をサラサラにする効果やダイエット効果で有名です。
ゴボウのサポニンは皮部分に多く含まれています。
ゴボウを料理に使う場合は基本的に皮を剥くためサポニンの十分に摂取出来ません。
ゴボウ茶の場合は皮も一緒に煎じるためにサポニンを十分に抽出したお茶になります。
このためゴボウのサポニンを十分に摂取できるのはゴボウ茶なのです。
本稿で解説したようにサポニンには多くの種類が存在します。
高麗人参にもゴボウにも豊富なサポニンが含まれていますが、同じ種類のサポニンではありません。
高麗人参のサポニンはジンセノサイドという、高麗人参特有の存在なのです。
サポニンの多くには殺菌作用があります。
細菌の表面を覆う細胞膜はコレステロールと同じ成分です。
ゴボウのサポニンはコレステロールを分解する作用があり、血液中や腸内の悪玉コレステロールを抑制する働きがあります。
それによって腸内環境を整えたり、血液をサラサラにしたりする効果があります。
このようなゴボウの悪玉コレステロール抑制の作用と同じ効果が高麗人参にもあります。
もちろん高麗人参にはそれ以外にも多くの健康作用がありますが、悪玉コレステロールの抑制という有益な健康作用は高麗人参もゴボウも共通しています。
ゴボウが高麗人参の代用になる、というのは少し無理がありますが、両者はサポニンの有効成分から健康作用を得られる、という共通点があるということです。