高麗人参に含まれる有効成分で最も有名な存在といえば【サポニン】です。
高麗人参は古くから漢方の王様、万能薬、長寿の秘薬、などと呼ばれ、珍重されてきた存在です。
その理由は、サポニンの含有量が群を抜いており、他に代わりとなる存在がなかったからに他なりません。
サポニンには多くの種類があり、高麗人参には複数のサポニンが含有されています。
つまり高麗人参に含まれるサポニンは種類も量も多いという特徴があります。
多くの種類のサポニンの中でも高麗人参にふくまれるサポニンは【ジンセノサイド】と呼ばれます。
このジンセノサイドは別名【人参サポニン】とも呼ばれ、高麗人参に特に多く含まれるサポニンとして認知されています。
高麗人参には複数のジンセノサイドが多く含まれるという特徴があります。
ジンセノサイドはさらに細かく分類すると30種類以上あることがわかっており、そのほとんどが高麗人参に含まれています。
サポニン自体は自然界においてさほど珍しい存在ではなく、植物の根っこ部分に含まれていることが多い成分です。
サポニンは水に溶かすと泡立つ性質があることで知られ、日本では平安時代に洗剤代わりに利用されていたという説があります。
高麗人参に含まれるサポニンはジンセノサイドと呼ばれ、高麗人参の高い栄養作用はジンセノサイドによるものです。
ジンセノサイドは大きく分類すると3つになります。
その3つが【ジオール系】、【トリオール系】【オレアノール系】です。
高麗人参には3種類のジンセノサイドが同時に含まれているのですが、この内の二種類のジンセノサイドは相反する効果があります。
ジオール系のジンセノサイドは末梢神経を拡張させる働きがあります。
そしてトリオール系のジンセノサイドは血管を収縮させる働きがあります。
この2つの効果は相反する効果といえます。
簡単に解説するとジオール系の末梢神経拡張機能は高血圧に効果があり、トリオール系の血管収縮機能は低血圧に効果があります。
高麗人参には上記の相反する作用が同時に働きますが、その効果が相殺されることはなくどちらのバランスも整えてられるように作用します。
このため高麗人参は高血圧ならそれを抑制する効果があり、低血圧ならそれを改善する効果があるのです。
ちなみに3つ目のオレアノール系のジンセノサイドは免疫力アップの効果があります。
高麗人参が古来より万能薬と呼ばれた理由は、豊富に含まれるジンセノサイドの作用が相反することなく体内でバランスよく作用するからです。
これは高麗人参の効果の大きな特徴である、恒常性(※1)を維持する働きによるものです。
(※1)恒常性…生物が一定の状態(健康)を維持しようとし続ける傾向
ジオール系は鎮静作用、トリオール系は興奮作用を促す効果がそれぞれありあす。
これは自律神経の交感神経(興奮作用)と副交感神経(鎮静作用)をそれぞれ促す形で作用します。
例えばジオール系が作用すると鎮静作用が高まり、スムーズな入眠に貢献しますが、ジオール系ばかり作用すると鎮静作用過多になり、虚脱感、無気力感に陥りやすくなり、いわゆるうつ状態を引き起こします。
それを解消してバランスをとるにはトリオール系の興奮作用が有効です。
ジオール系とトリオール系は自律神経の交感神経(トリオール系)と副交感神経(ジオール系)にそれぞれ作用します。
高麗人参にはどちらも含有されており、両者は相殺されずに作用します。
結果として高麗人参に含まれるジオール系のジンセノサイドとトリオール系のジンセノサイドの働きで、自律神経を安定させる効果が得られます。